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ループ
少しずつ明るくなっていく空を見て
僕はいつまでもこうしていてはいけないのかなと思った。
何故、突然そんな事を思ったのかはわからないのだけど、そう思ったんだ。



風景はガラリと変わる。一面の暗闇。その中に何かの気配がする。
視線…のような気がする。鋭くなく、かといって優しくもなく。
誰かが僕を見つめている。何をするでもなく、ただ其処で、僕を見る。
僕の全てはその視線の持ち主ではないか、と思う。
いや、感じるとでも言うのだろうか。

目を閉じると、そこにイメージが浮かび上がる。
檻の中で震える大きな生き物。
その生き物は、さほど大きくない檻の中で丸まっている。
その姿は『百獣の王』と呼ばれるにはか弱すぎた。
真っ暗闇の中央にある檻。彼はそこで何を見たのだろうか。
何に脅え、何を思うのか。



アングルが変わる。檻の中からの映像。
そこから見る景色は殺風景な物だった。
勇ましく駆け回ったサバンナは其処には無い。
あるのは何処までも続くかわからない闇と無機質な鉄の檻。
脱出を試みようとは思わなかった。しようと思えば簡単にできるだろうに。

彼は脅えていた。
『百獣の王』の生活に。彼を狙う仲間に。逃げる草食動物に。
当たり前のような生活、そのすべてが彼にとっての恐怖だった。
自分の威厳を保つために、日々鍛錬を怠らぬこと。
激闘の末に傷付いた彼の仲間。
必死に逃げる装飾動物を必死に追いかけ、首元に噛み付く。
しばらく痙攣した後に動かなくなるしなやかな肢体。
彼はその日威厳を保ち続けたこと、王座を死守したこと、殺すこと
その一つ一つを達成することに自分の生を感じた。
そうする事で自分を確かめていたのだ。

終わりは突然訪れた。
打ち込まれる銃弾、遠のく意識。
気が付くと彼は檻の中にいた。
彼は捕まってしまったのだった。
彼のいたサバンナは、彼を狙う仲間は、彼が追った草食動物は…
彼はすべてを失った。ある日突然に。

それから彼はすべてに恐怖を感じるようになった。
自分のしてきた行為のすべては恐怖だったのではないかと。
彼の体は震えた。大きかったその身体をちいさく丸めて。

闇の中では彼の行為がイメージとして映し出される。
大きな爪で仲間を引き裂き、なぎ倒す姿が。
駆け回る動物の目が少しずつ濁っていく姿が。
返り血を浴びた彼自身の姿が。

彼はそれをじっと見る。
その目は、獲物を狙う鋭い目ではなく、けれど漠然と。
その目の先には檻の中ので震える何かが見える。
その何かは突然震える動作を止め、こちらにゆっくりと振り向く。

ソコニイルノハダレ?
ドウシテボクヲミテイルノ?
キミハイッタイナニヲミテイルンダイ?



アングルが変わる。何処までも続くサバンナの風景。
草原に横たわる百獣の王。
傷ついた身体、変色したどす黒い血。
それを取り囲むハイエナの群れ。
立派な鬣は泥に汚れ、無様に舌が垂れている。
鼻の上に止まる蝿。貪られていく身体。
残されたのは干乾びた骨と
体を構成していたであろう皮のようなモノ。
血は固まり、大地に染み込む。



早送りで変わっていく風景。
百獣の王がいた場所からは小さな芽が出て
それが成長していく様が映し出される。
そこに草食動物がやってきてそれを食べる。
何かに気づいた草食動物は後ろを振り返る。
その瞬間に首元を噛み付かれ、息絶える。
草食動物を食す虎は銃弾を腹に打ち込まれる。





空は少しずつ青みを帯び始めていた…


永瀬の創作 | 06:28 | comments(0) | trackbacks(0)
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